トキメキシオンのおいたち

2021年07月10日

松原ステーブルスで暮らす馬たちは、悲しいことや辛いことを乗り越えてきた馬たちばかり。

先月来たばかりのレイズアスピリットは、大雪の中で衰弱していたところを助けられて、文字通り「九死に一生を得た」馬です。今回は、そのレイズアスピリットが松原ステーブルスにやって来て、最初にお友達になったトキメキシオンのおいたちを紹介します。 

トキメキシオンの誕生日は2017年4月19日。レイズアスピリットのほうが先輩ではありますが、お誕生日は4月20日なので一日違い。

お母さんはトキメキブンブン。お父さんはウインバリアシオンという、活躍した競走馬です。そのため、生まれた時にはお父さんのように競馬で活躍すると期待されました。 

けれども、生まれて間もなく、ケガをしてしまいます。お母さんに踏まれてしまったか、蹴られてしまったかではないかと言われています。ブンブンにとって、トキメキシオンは最初の仔でしたので、育児にまだ慣れていなかったのかもしれませんね。

幸い、命を落とすまでには至らなかったものの、レースで勝つことは難しい、つまり競走馬にはなれない、という判断をされてしまいます。

その後、お母さんのブンブンと引き離されてしまいます。馬房でひとり寂しくしているところを、支援者さんが優しく接して、かわいがっていたそうです。今でも馬房に近づくと、奥のほうにいても歩いて来て顔を出す人懐っこさがあるのは、まだ赤ちゃんの時に、人間に優しくしてもらったからでしょうか。

そこへ、トキメキシオンが暮らしていた牧場の事情から、トキメキシオンをレースに出してから殺処分する、という話が持ち上がります。それを聞いた支援者さんは、トキメキシオンを助け出そうと動きます。

なんとか、トキメキシオンとお母さんのトキメキブンブン、そしてシオンの叔母ちゃんに当たるトキメキユキチャンを救い出すことに成功します。なかなか馬運車が決まらなかったのですが、4月松原ステーブルスにたどり着くことができました。

競走馬になれても、引退すればほとんどが廃馬(殺処分)。競走馬として生まれながらも、残念ながら競走馬になれなければ、やはり廃馬。そして、その馬たちが暮らす牧場の事情でも、殺処分となってしまうことがある。それらを乗り越えて来たトキメキシオンです。まだ4歳なのに。

トキメキシオンの練習でもお伝えしたように、トキメキシオンもこれから松原ステーブルスで活躍する練習をしています。これまで寂しい思いをしてきた分、これからは松原ステーブルスを訪れるお客さん達と、楽しく過ごせるようになって欲しいと願っています。